国立t歯科

側方のハンドル治療

側方のハンドル治療(矯正治療)によって不定愁訴を改善した症例

初診 2004年11月

治療前の奥歯と前歯です。犬歯(3番目)が車で言うとハンドルですが、上下の犬歯が離れて機能していないのが分かります。

治療後 2007年10月

治療後の奥歯と前歯です。犬歯がハンドル機能を回復しました。これだけで頭から腰までの筋肉は楽になっていると思われます。

【初診時の状態】

全身的に不定愁訴(明確な原因が分からない頭痛・腰痛・肩こりなどの体の不調)も多く顔色も良くありませんでした。初診時の口腔内は切端咬合で側方ガイドがなく、大臼歯で干渉していました。正中は下顎が左側に約1mm偏位があり、下顎の左側変位も疑われました。

上顎咬合面のアーチはU字型に近く、大臼歯の咬合面は平坦で右上6番はレジンインレーが入っていました。

下顎のアーチはU字形です。主訴である左下6番はかぶせ物が脱離していました。前歯部には前回の矯正治療の保定装置が入っており、さらに舌側に骨隆起が存在しています。右下6番はレジンアンレーが装着されており、パントモX線写真では臼歯部に無髄歯が何本か確認でき、歯軸が平行な状態でした。

※ガイドとは・・・上下の歯を噛み合わせた状態で下顎を横に動かした際、スムーズに動かせるように誘導(ガイド)する歯

日時(初診) 2004年6月
年齢・性別 30歳 女性
主訴 臼歯部冠脱離
摘要 ・小学生の時に矯正治療を実施
・3年前に2度目の矯正治療を実施
主な治療経過 2004年 6月 初診
2005年 7月 基礎治療
2006年 2月 再評価
2007年 10月 終了
2015年 4月 側方ガイド再付与 メインテナンス
術後11年経過
治療方針 ・矯正治療で歯並び噛み合わせを整えて個々の歯の修復を行います

初診時・治療後・治療5年後の経過について

初診時・治療後・治療5年後の側面の経過です。噛み合わせのハンドルがだんだん摩耗してきています。

噛み合わせの改善によって口元が引き締まり、健康的になりました。また、前歯の矯正後にラミネートベニアで審美治療を行い、より一層美しくなりました。

初診時・治療後・治療12年後の経過について

治療前には顔色も悪く不健康な感じでしたが、術後には顔色も良く明るくなりました。

治療後と治療後12年経過の様子

【矯正器具装着後の変化・治療後の感想】

そして今では毎日40分程ウォーキングを行い、食事にも気を使うようになりました。3食主食に玄米、副菜に野菜、きのこ、豆類、海藻類、いも、魚などバランス良く取るようになりました。
おかげで便秘もなくなりました。

噛み合わせを治すだけでここまで元気になり、薬要らずでいられるなんて本当に武内先生にみていただいて良かったと思っています。そして、もし診ていただいていなかったら、どうなっていたんだろうと考えると少しゾッとします。

全身症状

問診票による全身的評価です。

問診票の改善率は93%でした。主な改善点は①睡眠②肌荒れ③精神的不安定でした。

まとめ

下顎位が左側に偏位し、側方ガイドが大臼歯となっていた干渉のケースで術前は全身的にも自律神経症状が強くストレスもあったと思われます。全身的症状(睡眠、疲労感、頚椎の凝り、肩凝り、肌荒れ、精神的不安定、便秘)は様々でした。

治療期間は約2年半でした。術後には下顎位が修正され、側方ガイドを2、3、4、5で行い下顎位と下顎運動が安定しました。患者さん本人が体調の変化に驚いていました。

さらに術後6年経過して、左側のガイドの摩耗が見られ、ガイドの喪失が疑われました。術後7年経過時に左側方ガイドが摩耗のため消失し、下臼歯の干渉が再発しました。しかし、その約半年後にコンポジットレジンで側方ガイドを回復しました。ガイドが消失して頭痛、不眠が再発していましたが、ガイドを付与すると症状は消失し、側方ガイドとの関連を強く示唆しました。その後は磨耗によるガイドの喪失を予防するため、バイトプレート(就寝時に装着するマウスピース)の装着を再確認してもらい、メインテナンス治療を続けています。

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