予防歯科・歯周病治療
このページの目次
- 1 歯周病の改善を目指すために欠かせない「4つのポイント」とは
- 1.1 ①ブラッシングがちゃんと行えないと歯周病の治療は行いません
- 1.2 お口の中の磨き残しの細菌をその場で見ることができます
- 1.3 ブラッシング指導前
- 1.4 ブラッシング2週間後
- 1.5 ブラッシング指導前
- 1.6 ブラッシング1ヶ月後
- 1.7 ブラッシング指導前
- 1.8 ブラッシング2週間後
- 1.9 歯周病を改善させるためにはブラッシングが絶対に必要
- 1.10 エッセンシャル・クリーニング(歯科衛生士によるプロフェッショナル磨き)
- 1.11 ② マイクロスコープを用いた歯周病治療(マイクロペリオ)の実施
- 1.12 深くなってしまった歯周ポケットの奥の歯石も見えやすい
- 1.13 ③歯のメンテナンスにあたっては、担当の歯科衛生士が拡大鏡を使用
- 1.14 ④ 歯周外科や歯周再生療法も実施
- 2 大ショック!?日本人の大人の80%は歯周病に罹っている!
- 3 「だから歯科検診は大事なんです!」痛くなくても定期検診は重要
- 4 歯みがきだけでは虫歯・歯周病を予防できないの?
- 5 歯周病と他の病気(心疾患・脳卒中・糖尿病)、妊娠との関係性
- 6 歯が悪くないからこそ歯科医院へ通いましょう
- 7 「予防」と「治療」で変わる将来の口腔内環境と治療費について
- 8 虫歯予防・歯周病を予防してオーラルフレイルを防止しましょう
- 9 国立で予防歯科の受診をお考えになっている方へ
歯周病の改善を目指すために欠かせない「4つのポイント」とは
国立t歯科には国立からだけではなく、全国から歯周病患者の方が見えられます。歯ぐきがやせ細り、歯がグラグラしている。このままでは抜歯をしなければならないと他の歯科医院で言われた。そういった方々でも、割合多くの患者様が抜歯に至らずに済んでいます。
当院ならではの抜歯をできる限り避けるためのポイントを4つ、以下でご説明致します。
①ブラッシングがちゃんと行えないと歯周病の治療は行いません
ブラッシングの出来ない状態で治療を進める事は「根本的な歯周病の治療」とは言えません。
なぜなら、歯周病の90%以上は、「毎日のブラッシング(プラークコントロール)不足が原因で悪化へと進み、毎日のブラッシングケアが良好であれば驚くほど改善にも進むから」です。
ですから、当院で治療を受診される方はまずブラッシング指導をさせていただき、それができるようになって初めて治療へと移行します。ブラッシングは歯周病治療のみならず、すべての治療に大きく影響します。
お口の中の磨き残しの細菌をその場で見ることができます
ブラッシング指導初回は、磨き残したプラーク(細菌の塊)をモバイル顕微鏡(見る菌)でチェックします。
ちゃんと磨いたつもりでも、実際には多くの磨き残しが有り、お口の中には細菌の塊が残っているということに驚かれるでしょう。
ブラッシング指導前
ブラッシング2週間後
ブラッシング指導前
ブラッシング1ヶ月後
ブラッシング指導前
ブラッシング2週間後
歯周病を改善させるためにはブラッシングが絶対に必要
グラグラな歯の状態である重度歯周病で歯周外科や再生療法を行ったとしても、重度歯周病になった主な原因(プラークコントロール)を改善しなくては、歯周病再発リスクはついてまわります。
歯周病を改善するにはブラッシングを正しい方法で、しっかりとモチベーションを保ちながら行うことが重要です。ブラッシング指導、モチベーションの維持に関しては、私たちも全力でサポートさせていただく所存です。二人三脚で歯周病の改善を目指しましょう。
エッセンシャル・クリーニング(歯科衛生士によるプロフェッショナル磨き)
歯みがきの専門家(歯科衛生士)によるハンドクリーニング。歯ブラシと歯磨剤を用いて徹底的に歯を磨き上げるプロケアのメニューです。きめ細かい泡で歯を包みこみながら歯の表面のバイオフィルムを軽快にかき落としてゆきます。磨き上がった歯のツルツルスベスベ感と爽快感を体験してみてください。本物の歯磨きを体感する事は、あなたのセルフケア向上の大いなるきっかけになることでしょう。
② マイクロスコープを用いた歯周病治療(マイクロペリオ)の実施
歯周病が進行すると歯と歯ぐきの間に隙間が空き、それがどんどん深くなっていきます。歯周ポケットと呼ばれるこの隙間に、細菌の固まりである歯石がこびりつき、炎症を起こして歯肉や歯根を溶かしていくというのが歯周病です。
歯周ポケットが7~8mmの深さにまで至ると、もはや肉眼では奥まで確認できません。そのため歯石が付着していても目で見ただけではわからないのです。そこでマイクロスコープ(歯科顕微鏡)の出番です。
ある論文によれば、浅い歯周ポケット(3mm程度)だとしても処置後には歯石の除去し残しが14%があり、少し深くなると(4~6mm程度)24%の除去し残しが、さらに深くなると(6mm以上)なんと50%もの除去し残しがあるといいます。
(エビデンス論文:Caffesse RG et al: Scaling and root planing with and without periodontal flap surgery. J Clin Periodontol, 13: 205-210, 1986.)
深くなってしまった歯周ポケットの奥の歯石も見えやすい
マイクロスコープは、視野を肉眼に比べて最大20倍ほどにまで拡大できるようにする器具です。これにより歯周ポケットが6mm以上の深さとなっている場合でも、その奥に付着している歯石を視認し、取り除くことが期待できます。
もしマイクロスコープがなかったら、歯ぐきを切開したり一度歯を抜いてからクリーニングを行って植え直したりといった方法しか採れないでしょう。重度の歯周病を治療するにあたって、患者様のご負担を減らすには、このようにマイクロスコープが不可欠といえます。
③歯のメンテナンスにあたっては、担当の歯科衛生士が拡大鏡を使用
歯周病の原因が歯石であるため、治療には定期的な歯のクリーニングが必要となります。このクリーニングを行うのは歯科衛生士です。
歯科医による治療はマイクロスコープや拡大鏡を用いますが、当院では歯科衛生士も肉眼だけに頼るのではなく、必要に応じてきちんと拡大鏡を使用しております。
また、衛生士を患者様へ担当制とすることで毎回担当がコロコロ変わることはありません。
④ 歯周外科や歯周再生療法も実施
歯周病が進行してしまうと歯周ポケットがどんどん深くなり、歯石を取り除くための専用の器具(スケーラー)が届かなくなってしまいます。その場合、一度麻酔を打ってから歯ぐきを切り開いて、歯の根元が見えるようにした上でクリーニングを行います。
また、病状によっては失われた歯肉の周囲組織を再生させる歯周再生療法という治療法を採ることもあります。マイクロスコープを用いることで、基本的にはこうした外科療法を選ぶケースは少なくすることができますが、必要な場合には歯周外科や歯周再生療法にも対応致します。
大ショック!?日本人の大人の80%は歯周病に罹っている!
きちんと毎日歯みがきを行い、今まで虫歯にも歯医者にも縁がなかったという方は、まさか自分が歯周病患者であるとは思いもしないものでしょう。しかし、日本人の成人の約80%が歯周病に罹っているというデータがあります。歯周病は自覚症状がほとんどないため、罹っていたとしても自分では気付きにくいのです。歯ぐきから血が出たり、歯ぐきが腫れたりといった症状が出てから病院に慌てて駆け込んでも、なかなか早期治療は難しいため、念のためにも一度歯科検診を受けてはいかがでしょうか。
「だから歯科検診は大事なんです!」痛くなくても定期検診は重要
この患者さんは小児の頃から当院で歯列の成長発育、矯正を行った患者さんです。中学生になって忙しくなってしまい定期検診に来られなくなっていました。
久しぶりに来院されたのは高校の時です。定期検診に来れなかったのと歯ブラシを始めとするセルフケアが行き届かず、虫歯がいくつか起こり、歯の移動も起こっていました。
その写真です。
この写真はまだ虫歯の除去前ですが、おそらく虫歯を全て取ると歯の神経(歯髄)が露出してしまい、神経を取ることになってしまうことが想定されました。
そこで3mixという3種類の抗生物質による虫歯菌を不活性化させる方法を用いました。結果、神経を残した状態でコンポレットレジン(CR)で機能的審美的に修復治療を丁寧に行えました。
治療後の写真です。
大きな虫歯もきれいに取れました。
今回の症例で重要なのは、3mixという方法、審美的なCR治療、、、違います。
定期検診、メンテナンスがいかに重要であるかということです。
今回の虫歯の歯も元々痛みがあったわけではありません。虫歯で歯が痛くなるのには予想より大きくなってからでないと痛みは出ません。今回は幸運なことに神経を保存した状態で、CRという比較的早く治療を終わらせることができました。
どんなにしっかり歯ブラシをしていても、お口の中に何かが起こってしまいます。最低でも半年に一回は歯医者で定期検診を行いましょう。
歯みがきだけでは虫歯・歯周病を予防できないの?
虫歯や歯周病に罹るのは歯みがきを怠ったからで、きちんと歯をみがいていれば病気の心配はない、と思っている方もいらっしゃるでしょう。ところが、バイオフィルム(菌膜)という菌の構造体は、歯みがきだけでは落ちにくいものです。そのため歯をみがいてさえいれば完全に安心できるというわけではありません。
歯のクリーニングでバイオフィルムを除去しましょう
お口の中には、虫歯や歯周病の原因となる菌を含め、非常にたくさんの微生物や細菌が存在し、バイオフィルムはそれらが集まって形成されます。台所や排水口などにヌルヌルした膜ができることがあると思いますが、あれがバイオフィルムです。
バイオフィルムは、歯磨きでは取除くことができません。また薬剤や免疫の力を遮断するため、細菌が繁殖し、虫歯や歯周病をはじめ、口腔内トラブルの温床となります。
虫歯や歯周病を予防するためには、毎日のブラッシングと定期的な歯のクリーニングが重要となります。
歯周病と他の病気(心疾患・脳卒中・糖尿病)、妊娠との関係性
歯周病はあくまでも口の中の病気だと思われるかも知れませんが、近年の研究によると、身体全体の様々な病気との関係性があることが判明してきました。歯周病菌が歯ぐきの血管から血中に紛れ込み、血流に乗って全身へと回ることで、心臓病や脳卒中、さらには糖尿病といった病気の引き金となりえるというのです。加えて、妊娠中の女性であれば、早産や低体重児の出産といった可能性が増加するともいわれています。歯周病は口の中だけではなく全身に関わる病気です。予防はきちんと行いたいですね。
歯周病と糖尿病を併発することで悪化は加速する!
下掲の図をご覧ください。歯周病の症状は糖尿病を悪化させ、糖尿病は歯周病を悪化させるという負の関係性がそこにはあります。この二つの病気を併発すると非常に危険といえます。ただ、片方を治療できればもう片方の症状も軽くできるということもあります。
歯周病の予防・症状改善でアルツハイマー型認知症のリスクを軽減
認知症の中で約7割を占めるアルツハイマー型認知症は、「アミロイドベータ(Aβ)」という異常なタンパク質が脳内に蓄積し、脳細胞を死滅させることによって発症・進行すると考えられています。
そして昨今、九州大学と中国北京理工大学の合同研究チームによって、歯周病菌がアミロイドベータ(Aβ)の蓄積量を増加させるという事実が解明されました。
この結果から、歯周病予防・歯周病治療によってアルツハイマー型認知症の発症・進行を抑制できることが期待できます。お口や歯だけではなく、全身の健康のためにも歯周病の予防・症状改善に取り組みましょう。
歯が悪くないからこそ歯科医院へ通いましょう
どこも悪くないのに病院へ通うというのは、妙な気もします。ですが痛みや出血、腫れといった症状が出ていない段階で病院の予防処置を受けることによって、そもそも病気にならずにおくことができるのです。国立t歯科では、ただ歯をきれいにするだけではなく、カウンセリングによって患者様の生活習慣を把握した上で、病気を予防するための食生活や歯のみがき方をレクチャー致します。
歯科衛生士による担当制で、病気の予防も
歯科衛生士というのは、歯科医師と同様に国家資格の保有者であり、予防歯科の専門家でもあります。虫歯や歯周病を防ぐための専門的知識や技術を持っているため、口の健康を保つためには欠かせないアドバイザーでもあります。
当院では歯科衛生士がそれぞれの患者様へ担当として付きます。どうぞご安心ください。
「予防」と「治療」で変わる将来の口腔内環境と治療費について
下記の図は、定期検診や定期クリーニングなど「予防」を習慣としている人と、違和感や痛みを感じた時にだけ「治療」をするという方の口腔内状況と生涯治療費を表したものです。
(出典:日吉歯科診療所調べ)
定期的に歯科医院に通うとその分治療費もかかりそうなイメージですが、実際は痛い時にだけ歯科医院に通う治療型の人の方が、2倍以上の治療費が必要だということがお分かりいただけると思います。また、早期に歯を失うことで食事や会話など、私生活においても様々な支障をきたすため、若いうちから予防を習慣にすることはとても重要です。
虫歯予防・歯周病を予防してオーラルフレイルを防止しましょう
オーラルフレイルとは、お口の機能(噛む・飲み込むなど)低下によって生じる体の衰えです。特に歯を早期に失われた方は、咀嚼が思うようにできず、食べやすい物ばかりを食べるなど、必要な栄養素を摂取できないため、筋力の低下(サルコペニア)や免疫力の低下など、老化が進んでしまいます。
国立t歯科では、患者さまがいつまでも元気にお食事ができるよう、虫歯・歯周病の予防に力を入れ、オーラルフレイルの防止に取り組んでいます。
国立で予防歯科の受診をお考えになっている方へ
以上のように当院では予防歯科を重視しており、国立以外の地域からも多くの患者様にご来院をいただいております。病気になる前に予防をしたい、という方はぜひ国立t歯科までお越しください。お待ちしております。