子どもの「出っ歯」の治療
小児の出っ歯治療例(Before&After)と解説
子どもの出っ歯の治療をする前に大切なことは、「出っ歯のタイプとその原因」を明確にして治療方針をたてること」です。8歳のAちゃんの症例をみながら、具体的に説明してゆきましょう。
Aちゃんは出っ歯のせいで唇を閉じることが難しいため常時「口呼吸」でした。
Aちゃんの出っ歯のタイプとは?
出っ歯には下記の4つのタイプがあります。
上顎骨が前方に大きくなりすぎたケース(骨格成長の問題)
咬む時、下顎骨が後方にずれてしまうケース(下顎位の問題)
上下の骨格に問題はないが、上前歯の歯軸が前方に倒れすぎたケース(歯軸傾斜の問題)
骨格の問題 + 歯軸傾斜の問題 のミックスケース
上記の4つのタイプ、それぞれ治療方針が変わりますので、治療前にしっかりと診断する必要があります。
Aちゃんの出っ歯のタイプを調べるために欠かせないものがこのレントゲン写真(奥歯で噛んだ状態で横顔を撮影する側貌セファロ)です。
- S点(脳下垂体の中心点)
- N点(おでこの骨と鼻骨がくっついた点)
- A点(鼻の下の一番引っ込んでいるところ)
- B点(下顎の一番引っ込んでいる点)
【レントゲン写真を測定した結果】
Aちゃんの出っ歯のタイプは
- 上顎骨が前方に大きくなりすぎてはいない
- 噛んだ時、下顎が後方にずれている
- 上前歯歯軸傾斜が大きすぎる
つまり、出っ歯のタイプは④であることがわかります。では、このAちゃんの出っ歯の原因は何でしょう?
「下顎後方偏位+前歯歯軸傾斜」による出っ歯 その原因は?
低位舌・下唇を噛む癖・口呼吸等 舌・唇の筋肉のアンバランスです。
不良歯並びの原因の多くは、口腔周囲筋(舌・唇等)のアンバランスです。矯正治療は歯並びを良くする治療ですが、歯だけ診ていては良い治療結果は得られません。
骨格と筋肉を整えることで歯並びと呼吸を改善してゆくのです。
これは、Aちゃんの上下歯並びの写真とレントゲン写真です。このレントゲン写真で永久歯数や永久歯萌出スペースを調べます。永久歯数はOKですが、永久歯萌出スペースが不足しています。
Aちゃんの出っ歯に対する治療方針
まずは、今しかできないこと。つまり、成長不足の上顎骨の拡大をして永久歯萌出スペースを作ります。
そもそも、上顎骨の成長不足はなぜ起こったのでしょう?
それは「低位舌」により、上顎骨の成長に欠かせない「舌圧を受ける」ことが出来なかったのです。
ですから、上記の装置にて土台となる顎骨の成長不足を改善した後、低位舌を改善することがとても重要になります。
そのための筋肉トレーニングは、当院のルームにて行います。(写真:口腔周囲筋のアンバランス改善のための筋肉トレーニング専用ルーム)
Aちゃんの治療前と8ヵ月後との比較
乳歯がすべて抜け替わり、永久歯列になりました。
小児矯正治療で骨格・筋肉・呼吸にアプローチすることでワイヤー治療することなく、この様に美しい歯並びになりました。
小児矯正について詳しくは小児矯正歯科ページからご覧ください >>
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