歯の神経を抜く?
グッと冷え込んできて徐々に秋も近づいてきています。
今回は「歯の神経を抜く?」というタイトルです。よく歯が痛くなって歯医者に行くと「神経を取らなければいけません」とか「神経を抜きましょう」と言われることがあると思います。
いきなり「取る」「抜く」という言葉を聞くとドキッとする方も多いかと思いますが、これらの治療は歯自体を抜く「抜歯」ではなく、いわゆる根の治療「根管治療」と呼ばれるものになります。
何らかの原因により、神経に炎症ないしは根管に感染を起こしてしまった場合、根管治療が必要になります。
この根管治療を適切に行うことにより、歯の根っこを残すことができ、被せ物などの補綴処置をしてあげることにより、ご自身の歯で噛むことができることができます。
しかし、この根管治療というのは非常に小さな根っこの中のことなので緻密かつ丁寧な治療が不可欠になります。
ここで僕自身が治療した根管治療のケースを1つみていきます。
今回の症例は右下の6番目の歯に違和感を感じてご来院された方です。2件ほど他院を受診されたものの、破折が疑われるので抜歯しましょうと言われたものの抜きたくないとのことで、当院にいらっしゃいました。
初診時のレントゲンです。
根の周りに黒い透過像を確認でき、破折の可能性は否定できないものの、マイクロスコープで破折の有無を確認しながら一度根管治療をしてみることにしました。
まずは、残存している虫歯を綺麗に取っていき
隔壁と呼ばれるプラスチックの壁を作り、ラバーダムをします
これらの処置を適切にすることにより、唾液などによる感染リスクを下げることができます。
そして、1つずつ根管と呼ばれる根の中の管を綺麗にしていきます。
今回の症例では全部で4つの根管が認められました。
全ての根管が綺麗になったら、洗浄、消毒を行い、ガッタパーチャという材料で綺麗になった根管を緊密に封鎖していきます。
現在、症状は無くなり経過に問題なければ被せ物をしていく予定です。
根管治療は根管の中にある感染力と患者さんご自身の免疫力との戦いを手助けしてあげるものになります。
つまり、限りなく根管内の感染源を取り除いてあげることにより、免疫により抵抗できる環境を提供するということです。
ガッタパーチャという材料で緊密に封鎖するのは感染源が再び繁殖しにくくするためです。
この歯は症状が認められなければ土台を作り、最終的には被せ物になります。
ここで重要なのは土台や被せ物も緊密でなければいけないということです。これらが緊密でないと感染源は容易に根管内に侵入し、再び根管内で感染を起こすことになるのです。
なので根管治療は最終的な被せ物まで緻密に行わなければなりません。
歯科の治療は1回の治療時間が長い、費用がかかると言われます。確かに一般医科に比べるとそうかもしれません。
しかし、歯科というのは診察、診断、治療を全て行わなければいけない医療です。
薬を出して終わりというわけにはいきません。今回の治療も経過観察も含めて4回ほど行っています。
ただ、それらの治療に価値を持ち、患者さん自身がしっかりと自分の歯に責任を持ち、健康のための歯科という考えが浸透していくと今後の患者さんのお口の健康度がさらに高まっていくと思います。
現在の歯科医院は多いと言われています。その中から自分にあった歯科医院を見つけることは容易ではないと思います。
当院での治療はすぐに診療せず、診断をしっかり行い、歯ブラシによるセルフクリーニングがしっかりできてから治療計画をたてて治療に入っていきます。
そのため、すぐに治療してほしいという希望には応えられないかもしれません。
逆に徹底的にかつ緻密な治療を希望される方には最大限の治療を提供させていただけるかと思います。
国立市で根の治療にお困りの方、全体的にしっかりと歯科治療をしたい方はぜひ一度いらしてください。
スタッフ一同お待ちしております。