今回は「VPT」について説明しようと思います。
「VPT」は「Vital Pulp Therapy」と呼ばれる治療法で「生活歯髄療法」というものになります。
非常に大きな虫歯がある場合、虫歯を除去していくと歯の神経が露出してしまい、抜髄→神経を取り除く処置を行うことがあります。
抜髄は歯の寿命に関して大きく関係しており、一般的に神経を失った歯と残存している歯を比較すると残存している歯の方が寿命が長いと言われています。
「VPT」は通常抜髄になる歯を神経を一部取り除き、神経を保存していく方法になります。
症例を見ていきます。
35歳 女性
主訴 他院にて治療した右下の歯がしみる
現病歴 2週間前に右下6番を他院にてCR行なったが、冷水痛、温熱痛、咬合痛を認めるため来院
現症 冷水痛(+)温熱痛(+)咬合痛(+)自発痛(±)電気診(+)X-RAY 正常
歯髄の状態を表す診断名(Pulpal):Reversible pulpitis(可逆性歯髄炎)
根尖歯周組織の状態を表す診断名(Apical):Normal apical tissues(正常根尖歯周組織)
レントゲンの写真を見てみると神経に非常に近接したCR充填を確認することができます。上記のような症状があり、このようなレントゲンの状態ですと通常、「抜髄」となることがほとんどです。
今回は患者さんの希望もあり、一度「VPT」を試みてみることになりました。
「VPT」をするにあたり重要なのは、露出した神経に感染を起こさせないこと です。
露出した神経は非常に脆弱です。唾液などが入るとすぐに感染を起こしてしまい、神経が死滅してしまいます。そのため、ラバーダムなどを行い感染防御を行うことが重要になります。
その上で充填してあったCRを取り除くと虫歯が残存していました(青く染色されている部位)
虫歯を取り除くと予想通り神経が露出してきたので、炎症歯髄を取り除き、圧迫止血を行います。
止血を確認できたらMTAセメントを充填し、仮のセメントで蓋をしていきます。
術後のレントゲンです。
少し白い色が濃い部分がMTAセメントになります。
経過観察を行い、症状が緩和すれば再度CR充填もしくは補綴処置を行なっていきます。
今回の治療は自費治療として3万円の費用を頂戴しております。
このように歯科の治療は日々進化しており、どのような治療がベストなのかをしっかりと考えていくことが重要になります。
国立市で歯医者をお探しの方、是非一度いらしてください。スタッフ一同お待ちしております。