出っ歯、上の前歯(永久歯)が曲がって生えてきていることに加え、顎骨のスペースが狭く残りの永久歯が綺麗に生えてくるのかが心配とのことでご来院された患者さまです。
今回は出っ歯(上顎前突)と永久歯萌出スペース不足の小児矯正の症例を基に、それぞれの治療方針についてご説明致します。
出っ歯に対する治療方針について
出っ歯というと、上前歯(上顎)が前方に突き出してしまったものととらえがちですが、実は出っ歯の多くは、下顎が後方偏位してしまったことによるものです。
上顎と下顎の前後的位置関係を診断するため、側貌セファログラムというレントゲン写真を使用します。
- S点(脳下垂体の中心点)
- N点(おでこの骨と鼻骨がくっついた点)
- A点(鼻の下の一番引っ込んでいるところ)
- B点(下顎の一番引っ込んでいる点)
SNA=78° SNB=72° という測定値より上顎が前に出すぎているのではなく、 下顎が後方偏位していることがわかります。
また、上前歯の歯軸傾斜度(白線)をみるU1-SN値(109°)より、上前歯の傾斜度が大きいことがわかります。
つまり、この症例の出っ歯は【下顎後退】と【上前歯の歯軸傾斜】によるものですから、この2点を改善してゆくことが治療方針となります。 上を引っ込めるのではなく、後退した下顎の位置を改善するのです。
この患者さんの口唇癖は、上前歯で下唇を噛む癖でした。 この癖が、【下顎後退】と【上前歯の歯軸傾斜】の原因の一つであり、 それらを助長したのです。
この癖を改善しておかないと後戻りの原因になります。 良い矯正治療の結果を得るためには、歯並びだけでなく 骨格・舌位・口唇癖等 、幅広く診ることが大切です。
永久歯萌出スペース不足への治療方針について
永久歯(青丸)が上下6本ずつ生えています。 前歯の歯並びをみると永久歯の萌出スペース不足であることは明確です。そのため、成長期であるこの時期だからできる骨格へのアプローチ(拡大)をして、永久歯がきれいに生えそろうための準備をします。
顎骨の拡大治療は、このように前歯が永久歯に生え変わった頃までにスタートするのが理想です。永久歯への生え変わりの年齢は個人差がありますので、お子さんのお口の中を観察してください。
小児矯正治療前後の比較
【噛み合わせ・前歯の傾斜を改善】
深い噛み合わせ・1歯対1歯の咬み合わせを1歯対2歯の適切な咬み合わせへと改善。前歯の傾斜も適切な状態になりました。
【上顎・下顎狭窄の拡大】
顎骨の拡大により、上顎・下顎の狭窄を改善、下顎の歯も綺麗に収まりました。
※小児矯正治療終了時には、まだ乳歯(緑丸)が残っています。 この後は、永久歯が生えそろうまで3~6ヶ月に一度定期検診にて経過観察を行いました。
永久歯が生え揃った後の口腔内
乳歯が全て永久歯に生え変わりました。このように、小児期に骨格・筋肉(舌 口唇)・呼吸の問題を改善して、永久歯が良い位置に生え並ぶ環境を整えておけば、ワイヤーを使うことなく非抜歯で美しい歯並びにすることも可能です。
治療前後の顔貌の比較
口呼吸や出っ歯の原因となる上前歯で下唇を噛む癖をはじめ、前歯の傾斜も綺麗に改善されました。
年齢・性別 | 9歳男子 |
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治療期間 | 1年5ヶ月 |
抜歯 | なし |
治療費 | 550,000円/税込(矯正装置料・調整料込) |
小児矯正について詳しくは小児矯正歯科ページからご覧ください >>
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